実は子どもに伝わらない叱り方〜「自分がされたらどう思う?」は子どもには効果なし〜

2022年6月30日木曜日

子育て


 「お友達を叩いてしまった」「おもちゃを取ってしまった」「お友達が作った作品を壊しちゃった」など、子どもがそんな悪さをしてしまった時に、「自分がされたらどう思う?」と子どもに聞いて「いやだよね、自分がされたらいやなことは人にもしないでね」なんてやりとりをしたことある親御様は多いのではないでしょうか。

「自分がされて嫌なことは他人にしない」これはとても素敵な教えだと思いますし、本当にその通りだと思います。

ですが、「自分がされたらどう思う?」この言葉、実は子どもには理解する事がとてもとても難しい言葉であり「自分がされたらどう思う?」この質問、叱り方は子どもにとっては効果がない方法なんです。

では、どんな言葉をかけたらいいのか。それは「ママ/パパがされたらどう思う?」「ママ/パパすごく悲しい気持ちになっちゃうな」などの言葉をかけることです。

今回は、「自分がされたらどう思う?」の言葉に効果がない理由や「ママ/パパがされたらどう思う?」「ママ/パパすごく悲しい気持ちになっちゃうな」がなぜ効果的なのか。一緒に考えていきたいと思います。


「自分がされたらどう思う」は子どもには効果なし


「自分がされたらどう思う?」この言葉を子どもに向けて投げかける。一見、一方的に叱り付けるわけでもなく、子どもに考えさせるような言葉かけでとてもいいように感じますし、多くの親御様も使われている方法だと思います。

しかし、この言葉は子どもにとって全くと言っていいほど効果がないんです。

「自分がされたらどう思う?」と、他の人に起きた出来事を自分に起きたらどう思うかと想像する力がまだ小さな子どもには難しいスキルだからというのが大きな理由です。

このように自分ごととして想像して考えるという力は早くて、小学校の3年生頃から、身についてくるスキルであり、多くの子どもは中学生になってからようやく、自分の能力として扱う事ができる非常に高度なスキルです。

そのため、「自分がされたらどう思う?」の質問をして、幼稚園・保育園などの未就学の子どもに考えさせるということは、効果がないのです。


ちゃんと回答できているけど、本当に効果ないの?



そんなことを思った親御様も多いのではないのでしょうか?

確かに子どもに「自分がされたらどう思う?」という言葉をかけた際に「いやだ」「ダメ」などと、返答が返ってくる事があるかもしれません。

ですが、そのほとんどは、以前にも「自分がされたらどう?」などと聞かれた際に「みんな嫌と思うよね」などの言葉で回答するのが正解ということをどこかで聞いてすでに学んでいたから、回答できたという理由です。

「自分がされたら痛いから嫌だ」などを想像して、意味を理解して「嫌だと思う」と回答したのではなく、「自分がされたらどう思う?」と聞かれたら「嫌だと思う」と回答するのが正解というインプットがされていたにすぎず、本質を理解できているわけではないのです。

そのため、「自分がされたらどう思う?」では、根本の問題解決にはつながらず、また同じ悪いことを繰り返してしまいます。

では、どのような言葉がけをして子どもを叱ればいいのでしょうか。


効果のある言葉がけ・叱り方


それは「パパ / ママがされたらどう思う?」という言葉です。

先ほども触れたように、人間の脳みそ的に、他人に起きた出来事を自分に置き換えて気持ちを想像するというのは、非常に高度なスキルでとても難しいことです。

ですが、子どもたちにとって一番身近にいて、大好きな「パパ」「ママ」に「嫌なことをされたら?」ということは、自分事として置き換えなくても、素直に大好きな人に嫌なことをされたら、「そのこと自体が自分にとっても嫌だ」と感じることができるのです。

例えばですが
「自分のお子さんが誰かに叩かれている」のを見たら、嫌だと感じませんか?

お子さんでなくても
「自分の親が暴力を振るわれている」
「自分の彼氏、彼女、パートナーがいじめられている」

嫌だと感じませんか?

それと同じことです。

自分が大切だと思う人に嫌なことをされているのは、誰だって「嫌だ」と直感的に感じることができるはずです。

そのため、子どもたちに取って身近にいて、何よりも大切な「パパ」「ママ」が「同じことをされたらどう?」という質問は「自分がされたらどう?」という言葉よりも理解ができ、効果的な言葉かけなのです。


Iメッセージ(アイメッセージ)で伝える



そして、上記の内容を応用して、もうひとつ効果的な伝え方をご紹介します。

それが「Iメッセージ(アイメッセージ)」です。

Iメッセージ(アイメッセージ)はビジネスシーンなどでも伝え方の方法としてよく出てきますが、簡単に説明すると「私は〇〇と思ったよ」と一般的な意見としていうのではなくて、あなた(伝える側)自身がどう思い、どう感じたかを伝えるというものです。

例えば、お子さんがお友達に意地悪をしてしまったとします。その時に

「〇〇くん(お子さん)がお友達に意地悪するのはママ / パパ 嫌だな」

と言った具合に「ママ嫌だな」「パパ嫌だな」と親御様がどう思ったか、どう感じたかを伝えると、お子さんたちは、「大好きなパパ / ママを嫌な思いにさせちゃった」と感じ、悪かったんだなと認識することができます。

できた時にもI(アイ)メッセージで嬉しいを伝える

悪いことをしてしまった時に声かけするだけではなく、いい行動をとることができた時にも声かけをしてあげることで、子どもはそのいい行動を反復するようになり、子どもの教育的にとても効果的です。

例えば、お子さんがお友達におもちゃを貸してあげた時などに

「〇〇くんがお友達に優しくしてくれてママ嬉しい」

などのように、いいことを褒める+I(アイ)メッセージの形で子どものいい行動のできたを褒めてあげてください。

子どもは褒められたことを継続的に反復するようになる(強化の法則)ため、いい行動をしたときには、できたことを褒める+I(アイ)メッセージの形でたくさん褒めてあげてください。


おわりに

「自分がされて嫌なことは他の人にもしてはダメ」私もよく言われてきた言葉ですが、確かに頭で意味は分かっても、「自分がされたらどう?」という問いにちゃんと回答できていたのかと言われると、怪しいところがあります。

「自分の大切な人が嫌なことをされる」そちらの方が、大人の私も「それは嫌だ」と直感的に感じることができる言葉かけのように思います。

他者に起きたことを、自分ごとに置き換えて考えるということは、大人にとっても高度なスキルであり、想像することができる範囲には限界があります。

是非、今回の内容を実践してみて、お子さんとの関係性を深めて、日々の生活に活かしていただけたら嬉しく思います!

それでは、また^ ^