そんな「朝の戦争」「朝のイライラ」を解消する事ができるかもしれません。
朝の支度を子どもが自分から行うようになるための方法を今回はご紹介します。
伝え方1つで子どもの行動が変わる
親御様が120%の思いで声を上げて子どもに指示を出していても、言うことを聞いてくれない。実は、子どもは言うことを聞いていないのではなくて、そもそもパパ、ママの言葉が届いていなかったり、理解ができていない可能性があるんです。
伝え方を工夫してあげるだけで、子どもたちへ言葉が今までよりも数段伝わりやすくなり、指示が通りやすくなる可能性が大いにあります。
子どもの注意をひいてから伝えてあげる
決して、悪いわけではありませんが、子どもは大人のように何かをしながら、別のことにも意識を向けられるほど器用ではありません。テレビを見ている時は、テレビに意識が集中しており、パパママからかけられた言葉なんてものは、全く届いていない場合が多々あります。返事があったからといって、ちゃんと言葉が届いているとは限らないのです。
そのため、声かけをする時は、どんなに忙しくても、名前を呼んで、「〇〇ちゃん」「△△くん」あなたに話しかけているんだよと、意識をしっかりとこちらに向けさせてから、声かけをしてあげる事で、指示の入り方が大きく変わります。
意識が向いているかどうかの判断基準としては、コミュニケーションの基本である「目が合っている」かどうかをしっかりと意識して、目が合ってからしっかりと声かけをしてあげてみてください。
毎回、「そんなことするなんて」と大変に思うかもしれませんが、何度も120%の声で呼びかけても動いてくれないということの方が何十倍も大変だと思うので、まずは一回試してみてください。必ず、お子さんの反応が変わるはずです。
具体的に伝えてあげる
「早く着替えなさい」「ちゃんとご飯食べなさい」こんな言葉かけをよくしていませんか?
私たち大人がこう声がけされたら「急いで着替えないと」「最後まで食べないと」などと、声がけしてくれた人の思いを理解して、行動に移す事ができる事だと思います。
ですが、子どもたちにとって「早く」「ちゃんと」などの言葉はとっても分かりづらい言葉で、はっきりと言葉を理解する事ができないという場合が多くあります。そのため、パパママが子どもたちに対して「遊んでいないで、急いで欲しい」という思いを込めて「早くして」「ちゃんとして」と声かけをしていても、そうした言葉に込められた、親御様の思いが子どもには届かず、思うように動いてくれないという事態に陥ってしまいます。
そのため、「ちゃんとご飯食べて」という言葉をもっと分かりやすく具体的に伝える必要があります。
例えば「テレビは見ないで、ご飯を食べて」「お話を一度やめて、ハンバーグが食べ終わるまでは静かに食べて」など。すごく具体的な表現になったと思います。
どういう行動をして欲しいのかを、具体的に伝えてあげる事で子どもは何をしたらいいのかが明確に分かり、「ちゃんと」という言葉に含まれる親御さんのして欲しいと願う行動をとってくれるようになります。
「具体的に伝える」ということは、普段から意識して練習していかないといきなり行うことは難しいかもしれませんが、この方法を身につけることで、いつものエネルギーの半分しか使わなくても、子どもがパパママの言うことを聞いてくれるようになります。
視覚的に伝えてあげる
<時間を具体的に>
例えば、朝の支度をしているタイミングで「あと10分で出るよ」という言葉かけをしたとします。この「あと10分」言葉を聞くだけで「あと10分か、、、」と、時間をイメージして、それに間に合うように自分の行動をコントロールする事ができますが、子どもにとって「10分」という言葉だけでは、時間をイメージする事が難しく結局何をしたらいいのかわからなかったりしてしまい、準備が進まないという事態に陥ってしまいます。
なので時計を指差しながら「長い針がここにきたらお家を出るよ」と伝えてみたり、タイマーをセットして「これが0になるまで準備をしてね」など、「時間」という概念を視覚的に理解する事ができるような工夫をして伝えてあげてみてください。
また、順番というのも子どもたちにとっては理解のしづらい事です。
<順番を具体的に>
「準備して」と言われても、準備には「着替え」「歯磨き」「荷物」など様々な工程があります。それらの順番を視覚的に理解ができるように工夫をしてあげると準備のスピードがグンと上がります。
僕がよく使う方法は小さなホワイトボードに
①おきがえ
②はみがき
③かばん
④くつをはく
と、番号を振って順番通りにやることを書いて、視覚的に伝えるということをよくしています。言葉だけで「準備して」と伝えるよりも手間はかかりますが、子どもにとってやる事が明確になり、行動がスムーズになるため、結果として短い時間で準備を終わらせる事ができるようになります。
小さなホワイトボードでなければ、紙にただ書いて伝えるだけでも構いません。親御様によってはタブレットやスマートフォンに打ち込んでそれを見せているという方もいます。
大きな方がわかりやすいですが、何もないより絶対にいいと思いますので、どんな方法なら取り入れる事ができるか、やりやすい方法から試してみていただけたらと思います。
朝の支度をルーティン化する
朝の時間はやっぱり時間もないし、イレギュラーな出来事も多く、パパママの気持ちとしては、「できることからどんどんやって欲しい」「パパママが言わなくても、自分でできるようになって欲しい」と思っていることでしょう。
子どもにとって、朝の支度はやる事がたくさんあって、「準備して」と言われても、何から手をつけたらいいかわからなかったり、終わりが見えなくて、やる気が出なかったり、そんな気持ちになるイベントなんです。
やることを項目化してあげる
そのため、まずは「朝の準備」でやらなくてはいけないことを、項目化して、必要であれば、その順番も決めて、朝の準備をルーティン化してあげる事で子どももやる事を明確に理解する事ができ、準備に取り掛かろうという意識が芽生えます。
おすすめの方法は先ほどの「視覚的に伝える」にも挙げた、番号を振ってホワイトボードにやることを書き出すということです。
①といれ
②はみがき
③ごはん
④おきがえ
⑤にもつ
⑥くつ
のように朝起きてからの行動を全て順番に書き出して、都度「今は②番だよ」「次は③番だよ」「あと2つでおしまいだよ」などと声かけをしてあげながら、提示してあげてください。
何度かやっていくと、次は書かれたものをどこか見えるところに置いておくだけで、子どもが自分で確認をしながら、勝手に準備ができるようになっていきます。
このようにやるべきことを書き出してあげることで子どもが「次にやる事がわかるようになる」「どれだけ出来たのか、終わりがあとどのくらいなのかを把握する事ができる」ようになり、終わりのない取り組みではなく、次に何をすべきなのか、あとどのくらい頑張れば終わるのかを把握する事ができるため、やる気にも繋がります。
楽しみ要素を入れてあげる
そして、1つできたら、できたものに丸をつけてあげたり、ご褒美のシールを貼ったりしていき、全ての準備ができると花丸がもらえたり、シールをいっぱいもらえるというご褒美付きで朝の支度をしていくと、言われたことをするただの準備が子どもにとって楽しいゲームのような時間に変わっていきます。
頑張ったら、花丸やシールがたまっていき、一定量たまったら何かのご褒美と交換できるというようなやり方を「トークン制」と呼ばれたりします。これは、療育や幼稚園・保育園などでも多く取り入れられている手法になります。(トークン制について気になる方はこちら)
このような工夫をしてあげることで、何をするべきなのかがわかり、準備がスムーズになったり、楽しみになる要素を入れてあげるだけで、自主的に準備をしようと動けるようになっていくことで、朝の準備の流れを自然と覚える事ができ、最終的には自分で子どもが朝の準備をするようになっていきます。
おわりに
子どもの行動は伝え方(提示の仕方)ひとつで大きく変わってきます。大人の感覚では、「こう言えばわかるでしょ?」と思って、伝えている事が、実は子どもには伝わっておらず、行動に結びついていないという事が、どこの家庭でも少なからず起きているはずです。
朝の支度など、大人にとってしてみたら「送迎のバス時間に間に合わなくなってしまう」「送り出しが遅くなったら、自分の仕事にも間に合わなくなってしまう」など、時間を守らなくてはならない理由や急ぐ事で得られるメリットがありますが、子どもからしてみたら、眠たいのにやりたくないことを、親の都合でやらされている、時間を守る理由やそれによって得られるメリットというものが意外とないものなのです。
なので、朝の支度などのイベントの中に、子どもにとっての楽しみとなる要素を盛り込んであげ、さらに、その楽しみをクリアするために必要な環境を整えてあげる事で、子どもも親のして欲しい行動をするメリットを感じられるような工夫をしてあげる事が第一歩になってきます。
伝え方の工夫はとても手間のかかることのように感じられますが、一度やってみると、結果として、時間の短縮になったり、イライラしなくて済むようになったりするものです。そして、一度身につけてしまえば、あらゆるところで通用するスキルにもなってきます。
是非、お子さんに合った伝え方を見つけてあげてみてください。
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