「お片付け」それは子どもとの戦争の始まり。。。
というと少し大袈裟かもしれませんね。
普段、親御様とお話をしていて、「お片付け」に関するご相談が非常に多いです。
おもちゃで遊ぶはいいけれど、片付けをせず、次から次へとおもちゃを出してきて...
常にお家はおもちゃ散乱状態。
その度に「お片付けしなさい」と声かけをするけれど、そんな簡単にうご入れくれるわけもなく...
最後はいつも親御様がお片付けをしている。
皆さまはいかがでしょうか?
今回はそんな子どものたちを「お片付け名人」へと変身させる関わり方や環境設定の工夫を一緒に考えていけたらと思います。
お片付け名人への道
今回も「褒める関わり」をベースにしてお話をしていきます。
褒める関わりについては下記の記事で触れていますので、是非ご覧ください。
スポーツでもなんでもそうですが、何かを身につける際に、最初から完璧にできる人なんていませんよね。
でも、お片付けなどの日常のこととなると、大人は子どもにいきなり完璧を求めてしまいがちです。
お片付けも子どもにとってはとても難しいことであり、身につけていくには段階をおって習得をしていく必要があります。
ポイントは
- 片付けやすい環境を整えてあげる
- 小さなゴールを設定をしてあげる
- 片付けを遊びにしてあげる
お片付け名人への道のりを親御様のお子さんとの関わりのコツなどを踏まえながらみていきましょう。
子どもにとっての「お片付け」の難しさ
まずは、子どもはお片付けの何につまづいてしまうのかということを一緒に見ていきましょう。
私も片付け苦手な1人です(^^;
子どもがお片付けでつまづいてしまう理由は様々ですが、
- 果てしない作業に感じる
- 片付ける場所(しまう場所)がわからない
- 片付けづらい(しまいづらい)
上記が子どもが片付けでつまづく理由のトップ3のように感じます。
それぞれについてみていきましょう。
果てしない作業に感じる
部屋中に散らかったおもちゃは、大人が感じるよりも広い空間に、たくさんのものが出ているという感覚になっており、これを全部片付けるということは、非常に壮大な作業であり、終わりがないように感じてしまいます。
終わりが見えない作業には、そもそも取り掛かろうという気持ちなんて湧いてこないですよね。
そのため、親御様からすれば、「すぐに片付けられるでしょ?」と思って「片付けて」といっても、子どもからすると自分で散らかしたものではあるけれど「果てしない、、、」とやる前から、やる気をなくしてしまっていることがよくあります。
お子さんがお片付けに全く手をつけないという親御様はまず、この理由を疑ってみてください。
片付ける場所(しまう場所)がわからない
おもちゃが入っている箱からおもちゃを出すことは、ただ目に入ったものを取り出すだけですので、容易におもちゃを取り出して遊ぶことができます。
ですが、衝動的に取り出したおもちゃを元あった場所に戻すとなると
「どこから出したか」
「どの箱に入っていたか」
「どのように入っていたか」
など
子どもにとっては「?」がいっぱいになって「お片付けをしなさい」と言われても、何をどこにどのように片付けたらいいかがわからず、手が進まないという状態に陥ってしまいます。
これも、大人からしてみれば、「自分で出したからわかるでしょ?」「そんなに難しいことじゃないでしょ?」と思いたくなってしまうことですが、子どもにとってみたら「とても大きな困りの種」となっていることがあります。
片付けづらい(しまいづらい)
運動能力的にも脳の認知的な面でもまだまだ発達段階にある子どもにとって
「片付けやすさ」
は、片付けようと思うか思わないかの大きな判断材料になります。
例えば
- 片付ける箱が押し入れの中にある
- 小さな袋に入れなくてはならない
- きれいに並べないといけない
<片付ける箱が押し入れの中にある>
片付けるために扉を開けて、さらに中の狭いところに手を伸ばして入れなくてはいけないなど、片付ける場所が遠かったり、しまいづらい場所になってしまっていると、子どもにとって負荷の大きい片付けの作業がより億劫になってしまいます。
<小さな袋に入れなくてはならない>
また、まだ指先の発達が未熟な子どもにとって、小さなものを小さな袋に入れたりする細かい作業は、とっても難易度の高い課題に感じます。お片付けの中に、スキル的に難しい課題が入っていると、お片付けをしたいとは思わなくなります。
<きれいに並べないといけない>
きれいに並べるというのも、子どもにとってはとてもハードルの高い作業であることがあります。
子どもの大好きなプラレールなど、壊れやすかったり、かさばってしまうものなどを「壊れないように大事にしまってあげよう」という優しさから、テトリスのようにきれいに並べなくては入らないようなケースにしまっている。
親御様の優しさが子どもにとっては、とても難しいパズルを毎回解かなくてはならないという感覚になってしまい、片付けなんてしたくないということに陥ってしまいます。
子どもは、大人にとって大したことではないと感じるところでつまづいてしまうことが多くあります。
子どものつまづきは、なかなか大人には気がつくことが難しいところが多いため、まずは大人が子どもの目線や感覚に共感してあげるということが、手立てを考えていく第一歩としてとても大切になってきます。
次からは、こうした子どものつまづきを解消してあげるための具体的な手立てを考えていきましょう。
片づけやすい環境を整えてあげる
ここまで見てきたように、子どもは大人が思うよりも、片付けを難しいと感じています。
そのため、片付けをより簡単に感じられるような工夫をしてあげる必要があります。
まずは、「片づけやすい環境を整える」という点です。
今回は
- 片付けの工程を少なくする
- 片付ける場所をわかりやすくする
この2つの手立てを紹介します。
片付けの工程を少なくする
片づけ=箱に入れるだけ
極端にいえばこのような構図になるように環境を整えてあげるということです。
「押し入れの中に片付ける」
「袋に入れてから箱にしまう」
などのように、扉を開けたり、狭いところに手を伸ばさないといけなかったり、袋に入れるという工程があったり、片付けのゴールまでの工程が多ければ多いほど、片付けが億劫になってしまいます。
これは、心理学的にも証明されていることで、大人にも当てはまります。
大人でも工程が多いと億劫になってしまうことを子どもができないのは当たり前のことですよね。
なので、お片付けが苦手なお子さんがいらっしゃるご家庭では、
まずは蓋のない箱(もしくは、蓋の開いている状態にした箱)を目に見える場所に置いて、おもちゃを持ったら、そのおもちゃを目に見えている箱にただ入れるだけでお片付けができるという環境を作ってあげてみてください。
片付ける場所をわかりやすくする
先ほどの箱に何を入れる箱なのかをわかりやすいようにしてあげることでさらに子どもにとっての片付けのハードルを下げてあげることができます。
「目でパッと見てすぐにわかるようにしてあげる」
子どもにとって分かりやすくする工夫としてこれが何よりも効果的です。
例えば
おもちゃをしまう箱に
お人形、プラレール、ブロックなどのイラストを貼っておく
これをするだけで、子どもが箱をパッと見ただけで、何をどこに入れたらいいのかが、すぐにわかり、子ども自身が、何をしたらいいのか明確になるため、お片付けにより取り組みやすくなります。
子どもにとって
「やることが簡単」
「何をするかが明確」
この2つの条件が揃うことで、初めて「やってみよう」という気持ちが生まれ、お片付けに取り組むことができるようになります。
小さなゴールを設定してあげる
ここからは親御様の関わり方の工夫についてみていきます。
冒頭にも書いたように、何かを身につけようと思った際に、最初から100%のクオリティを発揮するのは難しいことです。
少しずつ、スモールステップを踏んでいき、最終的に100%に持っていくという段階が必要になってきます。
ここではお片付けを身につけていくためのスモールステップについて考えていきます。
第1段階:遊びを止めることができたらOK
片付けができないお子さんの大半は、「遊ぶの終わりにして」と声をかけられても、おもちゃ遊びを止めることができません。
「まだ遊びたい」という気持ちからの切り替えが難しいのです。
片付けをするにはまず、この切り替えができるようにならないと、「片付け」のスタートにも立てないのです。
そこで、まずは、「遊ぶの終わりにしてお片付けしよう」と声をかけた際に
「遊びを止めることができる」をゴールに設定します。
そして、お子さんが声かけに応じて、遊びを止めることができたら
「遊ぶの終わりにできたね!」
と、たくさん褒めてあげてください。
ここで一番大切なのは、「遊びをやめる」というゴールを達成したときに「褒めてあげる」ということです。
子どもは褒められることで、褒められた行動を反復して行うようになっていきます。(強化の法則:詳しくはコチラをご覧ください)
その結果、「遊ぶのやめてお片付けしよう」と声をかけられると、遊びをやめてお片付けをする準備をすることができるようになります。
第2段階:1つ片付けることができたらOK
片付けの準備ができたからといって、次のゴールがいきなり全てのものを片付けるのは、大変です。
なので、まずはたくさん出ているおもちゃの中から
「1つでもおもちゃを片付けることができる」というところをゴールに設定してあげます。
そして、第1段階と同様に、何か1つでもおもちゃを片付けることができたら、1度でも箱におもちゃを入れることができたら、しっかりと褒めてあげてください。
自発的に片付けができるようになるには
「できたら褒めてあげる」これが何よりも大切です。
もし、「1つ片付ける」というのが難しい場合は、1つ前に「お片付けをしようとしたらOK」という、さらに小さなゴールを設定してみてあげてください。
実際に箱に入れるというお片付けができなくても
「遊びをやめて、片付ける箱を見ている」
「おもちゃを手に持つことができた」
などの様子があったり、行動ができた時に「お片付けしようとしてるね。えらいね」と声をかけてあげてください。
「子どもはお片付けをしようとしている」、今を褒められることで、次ステップの「おもちゃを箱に片付ける」という行動へつながっていきます。
第3段階:お片付けを完遂する
おもちゃを1つ片付けることができたら、あとはその1つを2つ、3つとどんどん増やしていき、最終的に全てのおもちゃを片付けることができるというところまでもっていきます。
片付けるおもちゃの数を増やしていくには、
1つ片付けるができたら、次は3つ片付けるをゴールにする。
3つ片付けるができたら、次は5つ片付ける。次はこのブロック全部を片付けられたら...
このように少しずつ、ゴールを小さなものから大きなものへと、設定をしていくことで最終目標の「全てのおもちゃを片付ける」ができるようになっていきます。
ステップまとめ
- 小さなゴールを設定してあげる
- 各ゴールを達成できたら褒めてあげる
- 今のゴール達成が難しい時は、今よりもゴールを簡単にしてあげる
お片付けのゴールをお子さんの今のレベルにあったものに設定をしてあげ、達成した際にはたくさん褒めてあげる。
この繰り返しで、子どもはお片付けを負荷を感じすぎることなく身につけていくことができるようになります。
片付けを遊びにする
これまでのお片付けスキル獲得の手順を見てきましたが、最後に、お片付けに子どもが取り組みやすくなる工夫を一緒に考えていきたいと思います。
子どもは自分が楽しいと思うこと以外には興味を示しません。
根本から考えて「片付けしてね」と言われても、子どもからすると、ただでさえ、まだまだ遊びたいおもちゃを切り上げて、お片付けなんて、したいと思うわけがありません。
そこで、「片づけ」というものを子どもが遊びと同じよう楽しみ感じることが出来れば、お片付けに取り組みやすくすることができます。
片づけをゲームにする
例えば、お片付けをする際に、どっちが早くできるかを、競うというゲーム形式にしてお片付けを一緒にする。
子どもは、お父さんお母さんと「競争のようなゲーム」と言われてるだけで、やっていることはただのお片付けでも、それだけで「とても楽しい遊び」と感じることができます。
お片付けをそのように提示してあげるだけで、子どもたちは進んで自分たちからお片付けをしてくれるようになります。
子どもたちに対して「お片付け」という課題をどのように提示してあげるかで、子どもたちのやる気や行動が大きく変わってきます。
さいごに
今回はお片付けを身につけるための工夫を見てきました。
お片付けは、ご家庭での日常生活でも、園や療育の現場でも、あらゆる場所で誰もが通る課題のように感じます。
お片付けをしてくれるようになると、お父さんお母さんの日常の困りが大きく減ってくるのではないでしょうか。
お片付けに限らず、子どもにできて欲しいと思う行動に対して、褒める関わりをしてあげることで、子どもはその行動を反復してくれるようになります。
褒める関わりを上手に使って、お子さんのできることを増やしていけるといいかなと思います。
では今回はこの辺で^_^
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