このブログでは、「褒める関わり」というものをベースにいつもお話をしていますが、その中でも、叱るという場面は必ず訪れますし必要なことだと思っています。
ですが、問題行動を次にまた起こしてしまわないように「叱る」ということをして、子どもに伝えているのにも関わらず、叱り方やタイミングを間違えてしまうと、かえって問題行動を増やしてしまうことに繋がってしまう可能性があります。
今回は、問題行動を増やしてしまう叱り方やどうすれば、叱ることで問題行動がなくなっていくのか「正しい叱り方」というものについて一緒に見ていきたいと思います。
問題行動を増やしてしまう叱り方
子どもの問題行動を増やしてしまう叱り方とはどんな叱り方なのでしょうか。
結論からお話しすると、叱り方というよりかは、
「子どもがどんな目的で問題行動を起こしているのか」
を知ることが大切になってきます。
子どもの問題行動の理由によって、叱ることで問題行動が減る時もあれば、叱ることで問題行動が増やしてしまうことにもなってしまいます。
どんな理由のときに、叱ることで問題行動が増えてしまうのかを見ていきましょう。
「注目を引きたい」が目的の問題行動は叱らない
「注目を引きたいが目的の問題行動」とはどういうことなのか。
例えば、お子さんが突然大きな声を出すという問題行動を取ったとします。
当然、親御様は「大きい声出さないの」と叱ります。
ですが、その結果、お子さんは何度も大きな声を出して、その度に親御様は叱りますが、声を出さずに落ち着くことはありませんでした。
さて、お子さんは怒られたのにどうして大きな声を出すのをやめなかったのでしょう。
その理由が「注目を引きたい」という目的があり、その目的が叶ってしまったからです。
子どもは大きな声を出した結果、親御さんから叱られましたが、このお子さんにとっては、
「叱られた=親御様の注目を引くことができた」
という構図になっており、簡単にいうと、
「大きな声を出せばお母さんが構ってくれる」
と学習をしてしまい、その結果、親御様が何度叱っても子どもは大きな声を出すのをやめなかったのです。
では、この場合どのように対処するのがいいのでしょうか。
問題行動をしていないことを褒めてあげる
これが結論です。
子どもの問題行動の目的は親御様の注目を引く(親御様に構ってもらう)ことです。
先ほどの例だと、「大きな声を出す」ということが子どもの問題行動だったので、問題行動をしていないということは「大きな声を出していない」ということを褒めてあげるということです。
大きな声を出さず、静かに遊べていたり、適切な声でお話ができた時に
「静かに遊べてて偉いね」
「すごく聞きやすい声でお話ししてくれてママ嬉しい」
など、大きな声を出していないことを褒めてあげることで、先ほどの
「大きな声を出す=親御様の注目を引くことができる」
という構図から
「大きな声を出さない=親御様の注目を引くことができる」
という異なる構図を学習し、その結果、親御様の注目を引くという目的を叶えるために、
「いい行動=静かに遊ぶ、静かな声でお話しする」を取るようになります。
叱り方まとめ
上記より、問題行動を増やしてしまう叱り方とは
「親御様の注目を引きたいという目的の問題行動を叱る」
という叱り方になります。
叱り方ではなく、どんな時に叱るのか、子どもの行動の目的(理由)を知ることがとても大切になってきます。
行動要因を知る
ここからはプラスαの内容になりますが、子どもの行動の目的(理由)についてみていきます。
行動の目的(理由)には大きく分けて4つあると言われており、この行動の目的(理由)のことを
「行動要因」と言ったりします。
子どもの取る行動の要因を知ることで、正しい叱り方やタイミングを考えることができ、より効果的な関わりができるようになります。
最後はこの4つの行動要因について見ていきます。
物や活動の要求
これは、名前の通りで、何か欲しいものやしたいことがあった際に、それらを得ることが目的となっている行動のことです。
「おもちゃが欲しくて、玩具箱に向かって走る」この走るという行動の要因は「物・活動の要求」ということになります。
注目要求
今回の記事のメインにもなっている行動要因で、周囲の人の注目を集めたい(気を引きたい)という気持ちからくる行動です。
例えば
「ものを投げる」という行動があったとします。
その行動の背景が「弟のお世話をしているお母さんに対して、自分にも構って欲しいという気持ちから、ものを投げた」
この場合の「ものを投げる」という行動の要因は「注目要求」ということになります。
この注目要求は、先ほども触れたように、このものを投げるということに対して「怒る」ということをすると、子どもの「お母さんの気を引きたい」という要求を叶えてしまうので、子どもはものを投げると気をを引くことができるという学習をしてしまい、その結果、ものを投げるという行動が増えてしまうということになってしまいます。
回避・逃避
何か嫌なことから逃れるために取る行動のことを「回避・逃避」といいます。
例えば
「お勉強をしている時に急にプリントをくちゃくちゃと丸めた」という行動を子どもがとったとします。
この行動の理由が「プリントが難しく、やりたくない」という気持ちからプリントを丸めたという行動をとったとするなら、これはプリント学習・お勉強から逃れようとするためにとった「回避・逃避」の行動となります。
自己刺激
自分が心地よいと感じる感覚を求めたり、落ち着くための感覚を求めて取る行動のことを「自己刺激」といいます。
自分の足や腕をトントン叩いたり、繰り返し大きな声を出して見たり、顔の前で手を振ったり、ものを動かしたりする。
自己刺激にはたくさんの行動例がありますが、自分を叩くことで感じる感覚や音が心地いいと感じる。大きな声を出すことでスッキリする。顔の前で物が動くのを見るのが楽しい。
など、その行動をすることによって、自分が落ち着いたり楽しいと感じることができる行動を「自己刺激」からくる行動と言えます。
例えば、自己刺激が目的の自分を叩くという行動があまりにも酷くて、体にあざができてしまう。
これはいくら自分が落ち着くための行動だとしても、あざができてしまうほどだったら止めてあげないといけないですよね?
叩く時に感じる掌の感覚が心地よい、音が楽しいなど、何に対して刺激を受けているかのかを、分析して、それに代わる行動で同じ刺激を入れてあげることで、自分を叩くという行動を抑えることができるようになります。
「代替刺激」を与えると言ったりしますが、今回の内容とは少しずれてくるので、詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
おわりに
問題行動を増やしてしまう叱り方。
それは、「注目要求」が行動要因となっている行動に対して、怒ったり声をかけたりしてしまうことです。
問題行動をなくしてあげるために、時には悪いことをしていても無視をすることも必要だったりします。
そして、正しい行動をしている時を褒めてあげる。
この2つをうまく使ってあげることができるとお子さんの問題行動に対して正しくアプローチをすることができ、結果として問題行動をなくしていくことができるようになります。
そのために、後半に出てきた「4つの行動要因」を知り、この行動がどの要因からくる行動なのかを見極めることでより正確なアプローチが可能となります。
後半は専門的で少し難しい内容となりましたが、興味のある方は是非、お子さんの行動を見る時に要因分析をしてみてください!
それでは今回はこの辺で\(^-^)/
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